ESTATE GUIDEエステートガイド
土地を購入したが、予定していた家が建てれない。どうしたら有利でしょう。
マイホーム建設のために不動産会社の仲介で土地を購入し、手付金200万円を売主に支払いました。ハウスメーカーに設計の依頼したところ、購入した土地の前の道路は「建築基準法42条1項5号(位置指定)道路」で、その土地の一部が自動車の転回広場に当たっていることがわかりました。しかし、当方はこの説明を受けていませんでしたし、現地でも確認出来ませんでした。結局土地の前面部分、約20㎡が使えないことが分かり、予定していた建物が建ちません。
不動産の取引上、このような問題はしばしば起こり得ることです。契約の当事者として最も有利な方法を選択したいところですが、実は処理の仕方によっては法的に解釈の分かれる興味深い問題なのです。
このような場合、まず貴方がどうしたいか、によって方法がかわります。貴方がこの土地を気に入っておられ、建物が少々いびつになっても我慢できるのあれば、売主の担保責任(民法566条・用益的権利による制限)の範囲で、買主が被った経済的損失(転回広場部分の対価減額と不完全な目的物の履行による評価損失〉額を損害賠償として請求できます。
一方、貴方が契約を解除する場合、本件土地の取得は住宅建設が目的であり土地の減少は致命的であるという客観的理由を示し、民法95条「要素の錯誤」が買主にあったとして契約の無効を主張します(ただし、判例では契約の錯誤無効に担保責任は認められないとしていますから、併せて売主に損害賠償を請求することは難しいでしょう)。この場合は仲介会社に業者としての債務不履行があるとして損害(買主の実質的損失や慰謝料)賠償を求めます。また、本件のようなケースでも契約違反を主張して契約解除及び違約金の請求を求める事例をよく見受けますが、売主に悪意が無く、仲介業者の調査ミスや告知違反などの過失が明らかな場合、売主からは残代金の支払いを含め契約の履行を催告(時には売主から違約を主張)されることも考えられますので、論点を整理して対処することが大切です。なお、錯誤と担保責任の関係は、権利関係を早期に整理するという趣旨から、特約である担保責任を優先させ、一般規定である錯誤による無効の主張を認めないとしています。