ESTATE GUIDEエステートガイド
団信保険は効かないと断られ、任意売却は出来ないのでしょうか?
夫婦連帯で住宅を購入したのですが、離婚しました。離婚の条件が慰謝料代わりに住宅ローンを返済していくということで、その家に私と子供が住んでいます。しかし、夫が脳溢血で半身不随になって働けなくなり、住宅ローンを支払えなくなりました。銀行には任意売却でお願いしましたが、連帯の私だけではダメ、夫の売却の意思がとれない、意思の確認がとれるなら自筆でサイン、捺印が必要で、それが出来ないと競売になると言われました。夫の理解レベルはとても低く、利き腕が麻痺しているのでサインも出来ません。団信保険は効かないと断られました。
①共有名義(夫婦連帯で住宅の購入を行った)
⇒共有名義で購入した段階で「担保提供並びに連帯債務」になります。
②その後、離婚された。
⇒離婚については、債務には全く関係ありません。
③債務に関してはご主人様が支払うことで夫婦間で確認した。
⇒結果的にはご主人様の支払意志はお二人の「お約束事」であり、融資された金融機関から見れば関係ないことです。
④支払うべき人が半身不随で働けない。結果、住宅ローンが払えない。
⇒ご主人様が病床に伏されてしまい、住宅ローンが支払困難となり、尚且つ、団体信用保険の適用外であることは、誠に不幸としかいいようがありません。
⑤金融機関の借入れについて期限の利益を喪失した。
⇒6ヶ月以上の滞納が発生すると、期限の利益を喪失したとみなされます。期限の利益とは、例えば「35年で1,000万円を毎月分割で支払う」この35年を指します。延滞した結果、期限の利益を喪失した為、今すぐに貸したお金を返して下さい!となります。
⑥自らの意思で売却(任意売却)を実施したいが、現実的にはご主人さまの意思能力に問題がある。
⇒一括して借入金を支払う方法として、現在のお住まいを売却することを金融機関が迫ったと思われます。しかし、大切な不動産を売却することと、借入金を返済する事は別な作業となります。一般の方はこの点を混在してしまいます。大切な不動産を売却する場合には本人の意思確認が重要な点となります。不動産を売却する時には様々な条件設定が不可欠です。売買代金もその一つです。「売る事への承諾」「金額の承諾」「売却代金の配分」そして「借入金の返済」も重要な意思の確認が必要となります。
⑦結果、競売しか方法がないのか?
⇒本人の意思確認が判断できない状態であれば、金融機関だけでなく、売却をお手伝いする不動産業者も尻込みすることは、仕方がないことかもしれません。ご主人様の状態によってですが、成年後見人制度の利用も可能かもしれません。その制度を利用して、高い評価で売却できるのであればチャレンジするのも一つです。しかし、時間との戦いでもあります。全てを諦めてしまった場合は「競売手続」に着手されてしまうでしょう。
競売になったとしても、全てが否定される訳ではありません。ここで、注意しなければならないことは「担保提供並びに連帯債務」なのか?「担保提供」なのか「連帯債務者」なのかです。担保提供だけであれば、不動産が競売になり土地、建物を喪失してしまうだけですが、連帯債務の場合、債務額に処分価格が満たない場合は、不足分についても請求されます。