ESTATE GUIDEエステートガイド
公簿売買ってなんですか。
5年前に父が買った比較的広い敷地の住宅がありますが、今度遺産分割することになりました。その際、面積が不足していることがわかりましたが、元の売主に聞いたら、公簿売買だと言います。公簿売買とは、売買契約に当たり、土地・建物の登記簿の表示面積により売買代金を確定し、後に実測した面積との間で差が生じても代金を清算しない契約方式のことをいいます。これに対して、実測面積により売買代金を確定させる契約方式を実測売買といいますが、個人の住宅地のような取引においては、売主、買主双方の公平を期するためにも実測売買の方が望ましいといえます。本件の取引が実際に公簿売買であったかどうかは売買契約書の条項により確認することになるでしょう。なお、売主が数量を指示して売買した(一定の面積があることを売主が契約において表示し、その数量を基準にして売買代金が算出された)場合に、その数量が不足し、買主がその不足を知らなかったときには、買主は代金の減額要求、損害賠償請求、契約の解除(残存部分だけなら買わなかったであろうとき)ができます(民法565条)。また、売買契約書に「すべて面積は公簿による」との条項があった事案で、買主が実測面積に感心を持っていたことが認定されて、公簿面積より5%強小さかった土地について、売買契約の6年後に代金の減額請求が認められた事例(最判平成13年11月22日)があります。