ESTATE GUIDEエステートガイド
登記の中間省略をする場合、買主と第三者との契約形態はどうなるのでしょうか?また、宅地建物取引業法に規定される「自己の所有に属さない宅地建物の売買制限(法33条の2)」との関係も教えてください。
登記の中間省略が一定の契約形態により可能となったといっても、売買契約の単なる中抜きでは、権利変動を公示する登記制度の趣旨からして中間者の登記を省略することは認められません。第三者のためにする契約とは、売買契約においては当事者(売主A・買主B)が予め第三者(権利者C)に物の所有権を移転する目的で締結する契約(民法537 条)をいいますから、買主Bと権利者Cとの間には民法上の売買契約とは異なった契約形式を採用することも考えられますが、一般的(宅地建物取引業者がBの地位を占める契約)には、BC間においては他人の権利の売買契約を締結し、所有権に関して売主A買主Bで締結した第三者のためにする契約に基づくAからCへの直接の移転をなす旨の特約を付帯させるのが良いでしょう。ただし、ここで問題となるのが、ご指摘の業法33条の2の規定です。これについては宅地建物取引業者自らが売主となる場合に抵触しますので、国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則15条の6)において、当該業者が買主となる場合で、第三者のためにする契約または買主の地位の譲渡に該当する形態を整えているものについては、法33条の2を適用しないこととするよう改正(同施行規則15条の6第4号追加)されました(平成19年7月10日国土交通省総合政策局不動産業課長発第19号)。一方、BC間の契約形態を民法上に規定されていない契約形式(無名契約、非典型契約)とした場合、その部分は宅地建物の取引とはならず、宅地建物取引業者が売主となっても業法の規律を受けないこととなり、消費者保護の観点から種々の問題が生じる恐れがあります。したがって、Cの立場にある者が一般消費者である場合には、その内容と自らの法的地位を充分に理解したうえでの無名契約締結が望ましく、当該業者の法的知識と説明責任が強く求められると考えますので、慎重な判断が必要です。