ESTATE GUIDEエステートガイド
説明義務に違反になりませんか?
私道に面した3連戸の真中のテラスハウスで、公道に面しているのは1軒だけです。今回この家を売りにだすにあたり明らかになったのですが、奥の2軒は接道の関係により独自の立て替えができないとのことで、売値が大幅に下がってしまいました。しかし、購入時の重要事項説明の中にはそのことについては一言も触れられていませんでした。
一般的にテラスハウスと呼ばれる住宅は、低層の連棟式住宅(一棟の建物の区分所有)で、分筆した敷地を夫々の区分建物所有者が単独に所有する形態を備えたものを言います。通常この様な住宅は、マンションなどの共同住宅に準じた利用形態を持つため、区分された建物の専有部分のみを建て替えることは、基本的には想定していない場合が殆どです。
従って、購入した後に区分建物の専有部分を単独で建て替える際には、当然建蔽率、容積率の既存不適合や、接道義務を満たさないなどに加え、切り離しに際して生ずる建物全体の構造上の強度が問題になるほど、多くの制限が課せられます。このようなことから、この住宅も、あくまでも一棟の建物の専有部分として販売されたことが推測されますので、購入時の重要事項説明を交付する際、現状の利用に関する範囲での建物の敷地に関する権利及び内容の説明で足り、購入後の利用用途の変更(立て替え)や、第三者に譲渡する時点での市場評価まで想定して説明する義務は負わないと考えます。
従って、本件転売時に第三者が、単独建替えが出来ないことを理由に当該物件の価格を安価に査定したとしても、購入時の重要事項説明の際、単独建替えが可能かのような嘘偽の告知を受けたとか、建替え時の説明を求めたにもかかわらず、故意に事実を告げなかったというような、仲介業者の義務違反(宅地建物取引業法第35条第1項5の2、同47条)が明らかな場合を除き、仲介業者の責任を問うことは難しいと考えます。