ESTATE GUIDEエステートガイド
残置物の修理義務は誰が負うことになりますか。
従前の借主が取り付けたエアコン(いわゆる「残置物」)付の建物賃貸借契約を締結したところ、入居半年後にエアコンが故障しました。「エアコンの修理義務は借主が負う」という重要事項説明を受けましたが、賃貸借契約書には何の特約もありません。一般に「残置物」といわれている物は、従前の借主がその所有権を放棄したものですから、それを占有している貸主がその物を次の借主に使わせる(処分する)ということは、貸主がその物の所有権を取得しているものと考えることができます。(民法第239条)建物賃貸借契約における建物の修繕義務は、原則として貸主にあります(民法第606条)。しかし、今回は媒介業者がその重要事項説明において、「修繕義務は借主が負担する」旨の説明をしており、その説明の内容は媒介業者が貸主の意思を伝達し、借主がこれに応諾したものと考えることができます。重要事項説明書に記載があるから当然に契約内容となるものではありませんが、その説明を借主が受け、それを納得したのであれば、その旨の合意が成立しているとみることができます。そして、建物賃貸借においてエアコンの修理義務は借主にあるとの特約は、それが他の事情を総合すると極めて不当であるという特殊な事情がない限り有効と考えられますので、今回のケースは借主が修理義務を負うことになります。