ESTATE GUIDEエステートガイド
事業用定期借地契約の存続期間中に、建物が火災で焼失してしまった。この場合、事業用定期借地権はどうなりますか。
事業用定期借地契約は、更新のない「期間を定めた賃貸借契約」です。よって、当事者間においては、契約期間内は建物の存否に関係なく借地権は存続します。しかし、借地権の存続期間中に建物が滅失すれば、その建物の登記は実体のない無効な登記となるので、登記簿上に建物の登記が残っていても、その登記は第三者対抗力のないものとなります(借地借家法第10条第1項の反対解釈)。ただ、建物の滅失により、一時的に第三者対抗力のない借地権になったとしても、その借地人が借地上に法定の条件を満たす掲示板を立てた場合には、その消滅した第三者対抗力がその時点から復活するとされています(借地借家法第10条第2項本文)。この点は、事業用の定期借地権であっても同様です(同法第23条)が、その掲示板の効力も、建物の滅失があった日からそのまま2年を経過した場合には、その効力がその時点で消滅するとされているので、借地人としては、その2年の間に再度建物を建ててその登記をしなければなりません(同法第10条第2項ただし書き)。なので、借地人が事業の都合上どうしても2年以内に建物を再築することが難しいというのであれば、借地人としては土地の所有者に多少の費用を支払ってでも、事業用定期借地権の登記をお願いするしかありません(不動産登記法第3条第8号)。なお、土地の所有者にとっては、もともと事業用の定期借地権は更新がないのですから、その登記自体を拒む積極的な理由はなく、むしろ土地の所有者に対外的なメリットがあるという側面もあるので、全く登記に応じないということはないと思われます。