ESTATE GUIDEエステートガイド
工務店に対してどこまで請求できるのでしょうか。
築23年の鉄筋コンクリート造6階建マンションの2階住戸を所有しています。雨漏りにより住戸内に水が浸入し、カーペットとフェルトが水に濡れて使えなくなりました。管理会社に連絡すると、共用部分の問題だから保険を使って補修すると言い、4社から見積りを取ることになりました。見積り金額は、以前にマンションの修繕工事を請け負った会社が19万円、地元の工務店が14万円、ほか2社は35万円前後でした。管理会社の判断により、以前、管理組合発注の仕事をした実績もあり、見積り金額も安い地元の工務店に発注することになりました。その後、補修工事が行われました。見積りでは、カーペットとフェルトを両方交換することになっていたのですが、工務店はフェルトの交換をしていないことがわかりました。後日やり直し工事をしてもらうと、今度はカーペットを切られてしまいました。そこでカーペットの損害賠償を求めたところ工務店は、損害賠償額は自社見積り程度のカーペット代金までしか出さないと言いました。別の工事業者に補修を依頼した場合、その差額を当方が出すことは納得できません。
工事請負契約を締結した地元の工務店には契約書等に記載された工事を実施する義務がありますし、工事に際しては、既存の物を損傷しないよう注意して施工する義務があります。
したがって、地元の工務店は、フェルトの交換工事を行う必要がありますし、その工事の際にカーペットを切って損害を与えた場合は、損害賠償義務を負います。その損害賠償額は、たとえ、その工務店が他社よりも過小に見積もっていたとしても、一般の施工業者が補修工事を行うのに必要な金額(補修費用相当額)と考えられます。ところで、共用部分の問題であり保険を使って補修することになったということですので、工事の発注者は管理組合だと考えられます。その場合、管理組合が、工事請負契約に基づいて、工務店に損害賠償請求をするというのが一般的だと思われますので、まずは管理組合に相談をされてはいかがでしょうか。工事の発注者(管理組合)であれば、リフォームに関する専門家相談で弁護士や建築士による専門家相談を受けることができますので、契約書や実際の施工状況がわかる写真等をもって、相談することをおすすめします。もし、管理組合から、新たなカーペット工事には保険を使えないので、協力することができないと言われた場合は、相談者は、工務店により所有物であるカーペットを損傷されたとして、不法行為責任に基づき、補修費用相当額を請求するという方法も考えられます。