ESTATE GUIDEエステートガイド
修理対応はしていただけないのでしょうか。
貸家に住んでいます。局地的な集中豪雨に見舞われ、庭先の灯篭が倒れました。また、マンホールからヘドロがあふれ出てきました。後日、水道工事業者に見てもらったところ、以前からのゴミや泥が詰まっていたものが、この雨で一気にあふれ出たものとわかり、灯篭の修復と併せて大家さんに依頼をしたのですが、「天災地変」の責任は免除されているはず!と言われました。
賃貸借契約がどのような内容かは分かりませんが、家主さんが「天災地変の免責」を主張されていることから、恐らく「天災地変等不可抗力による本物件の損害について、賃貸人は責任を負いません」というような免責特約が付されているものと推察します。集中豪雨で倒れた灯篭(本物件に付帯する施設)と、ずいぶん以前から詰まっていた汚水配管のヘドロとは、少し意味が違うものとして考えます。まずは灯篭ですが、貴殿が必要不要に係わらず、本物件に付帯していた施設ですから、家屋を含めて賃借人が維持管理をする責任を負っています(民法87条・主物と従物、民法594条1項・借主の使用収益、598条・借主による収去)。このような局地的ゲリラ豪雨は、通常予想しうる雨量を著しく上回り且つ突発的であることから、予め豪雨に備えることが難しく、これによる被害は不可抗力が認められると考えます。従って、灯篭の修復は賃借人がなすべきものと思慮いたします。
一方、汚水排水のヘドロ害は、確かに豪雨によって露呈した被害ですが、工事業者の見解にあるように積年の管理懈怠によるものとするならば、賃貸人が負う使用収益に適した状態の維持管理(民法606条1項・賃貸物の修繕義務)の債務不履行があるとして、生じた損害の賠償ができると考えます。実務的には、実際にあふれ出たヘドロが何時の頃から溜まっていたものか、言い換えれば家主側が本物件の管理上必要な排水経路の点検または清掃等を行なった経緯があるかを調査し、重大な管理上の落ち度があると認められれば、ヘドロの撤去及び原状回復に必要な費用の請求が可能となります。